高校入試の対策。国語は、7月から始めるべし!
高校入試で、いつも気にかかる「古文」の問題。
実は、古文の問題は次の二つを押さえておけば、解ける!
①問題の解き方のテクニック。
➁最低限度の古典知識。
ここでは、そのうち、➁最低限度の古典知識について、
一覧にしてみる。
なお、ここでは、光村図書版の教科書(~2024年度)を参照してもらえる形で書いていくことにします。
国語1
①(154)歴史的仮名遣いを、現代仮名遣いに直す。(169も参照)
➁古典を暗唱することになれる。現代語訳も暗唱する。以下すべての作品に対して!
➂作品が出てきたら、出典について、時代、作者、特徴を軽く押さえる。漢字で書ける。以下すべての作品に対して!
④(156~)12の古典作品について、時代と作者、特徴について(軽く)知る。※➂とほぼ同じことを言っています。
⑤(158~竹取)助詞「が」は省略される場合があることを知る。
・筒の中光りたり。/三寸ばかりなる人、いとうつくしうて…
⑥古文単語「あやしがりて(不思議に思って)」「いと(とても)」「うつくし(かわいらしい)」を覚える。※古文単語を単独で覚えなくても、古文現代文暗唱ができていればそれで自然に古文単語は覚えたことになる。
⑦古文は一文が長いことを知る。
⑧誰が言っているのか、だれが行っているのか、見落としがちになる。つまり、主語がはっきり書かれないことが多いと知る。
→一文を自分で短く切りながら、誰が言っているのかを確認しながら読むことを心がける。
⑨「~む」は「~(だろ)う」と訳す。(これやわが求むる山ならむと思ひて)
※~しよう、と訳すべき時もある。
⑩カギかっこ「」が終わった後の一文字目は、『と』であることが多い。
→カギかっこがない古文のなかから、会話の部分を見つけ、かぎかっこをつけさせる問題が入試でよく出る。その時にこのことを思い出す。
・「この山の名を何とか申す」と問ふ。/女、答えていはく、「これは、蓬莱の山なり。」と答ふ。
⑪「まうで来たりし」=まいりました→謙譲語。「のたまひし(のたまふ)」=おっしゃる→尊敬語。
⑫(170~今に生きる言葉→故事成語)故事成語とは何かを知る。
⑬二十程度の代表的な故事成語を知り、日常で使う。
⑭送り仮名、返り点、句読点をつけて、白文を訓読文にするときの規則を理解する。
⑮書き下し文とは何かを知り、ひらがなに改める漢字について知る。
ここまでのまとめ①~一年生の古典
ページにして154から174までの20ページほど。サラッと読み直すのに大した時間はかからない。
一度勉強していることなので、少し読み直すだけでも思い出すことが多いだろう。
上の15項目を確認しながら教科書を読み直すことで、効率よく復習できると思います。
一日で一気に覚えようとするのではなく、短時間で、薄く全体に目を通すことを、何度かに分けて行った方が頭に入ります。
大丈夫。国語の教科書をこうやって読み直す人は、2割もいません。
つまり、やってみるだけで、80%の人よりもしっかり復習していることになります。
まずは、やること!気楽に、薄く、何度も。
自分に負担をかけるのではなく、
〇「あ、正しい時期に効果的な勉強を、今やれている!」という達成感
〇「みんながやれていないことができている」という優越感(笑)
を味わいながら、
楽しい気持ちでやっていこう!
国語2
⑯(28~枕草子)「~の」は、「~が」という意味の場合がけっこうある。(が、の意味の『の』)
・紫立ちたる雲のほそくたなびきたる/蛍の多く飛びちがひたる
⑰「やうやう(しだいに)」「をかし(趣がある)」「さへ(までも)」「つとめて(早朝)」「わろし(よくない)」を覚える※古文と現代語訳暗唱をしてしまうほうがおすすめ。
⑱「~ば→~(する)と」と訳す。現代なら「もし~ならば」という意味かなと思うものも、「~(する)と」と訳す。「と」の訳がしっくりこないときは「~ので」と訳してみる。
・月のいと明かきに、川をわたれば、→月のとても明るい夜に、川を渡ると
⑲「…こそ~けれ」 などのような表現を係り結びという。係り結びについて理解する。
・水の散りたるこそをかしけれ。
⑳(148~平家物語)平家物語の冒頭文は対句であることを知る。→古典にも対句などの表現技法は使われていることを知る。
㉑酉の刻→午後6時ころ。→この当時の時間の表し方を理解する。
㉒「~ば」→「~ので」と訳すことを知る。/「~と」と訳した方がいいこともある。
・舟は、…漂へば、扇もくしに定まらずひらめいたり。→舟は、…漂っているので、扇もくしに定まらずひらめいている。
・目を見開いたれば、風も少し吹き弱り…→目を見開くと、風も少し吹き弱り…
㉓たまへ→~してください の意味。
・扇の真ん中射させてたばせたまへ。
㉔「ぞ」の係り結びを知り、訳すときに混乱しないようにする。
・扇も射よげにぞなつたりする。→「ぞ」は、強意(強調しているんだー、くらいでOK)なので、特別役に反映させなくていい。今後出会う古文でも、そのように処理する。
※係り結びは、「ぞ」「こそ」の二つが特に目に触れる機会が多い。
㉕「おぼし」→「思われる」
・感に堪へざるにやとおぼしくて、→感に堪えなかったのだろうと思われ
㉖(158~徒然草)ゆかし→知りたい/あらまほし→あってほしい
・何事やありけん、ゆかしかりしかど→何事があるのか、知りたかったけれど
・先達はあらまほしきことなり→その道の先導者はあってほしいものである。
㉗(162~漢詩の風景)五言・七言・絶句・律詩・について理解する。
㉘「故人」は、古典では「古くからの友達」という意味であることを知る。
ここまでのまとめ➁~二年生の古典
一年生で挙げた項目が15。二年生で挙げた項目は13。
二年生の古典の方が、数も多いし、難易度もけた違いに高いのに、項目として起こしていくと、理解すべきポイントは少なくなっています。
ただし、一つ注意が必要なことがあります。
それは、一年生の方で挙げた項目を、二年生の題材にも当てはめて勉強する必要があるということ。
たとえば、作品の暗唱、現代語訳の暗唱。一年生の方で項目としては書いたので、二年生の方では繰り返し同じことは書いていないです。
でも、枕草子や平家物語も、竹取物語同様、一度暗唱してしまうことは有効。
そのあたりは忘れないでおいてください。
古文単語については、高校入試対策として、教科書に出てきたもの全てを、すべて覚えなくてはいけないと思う必要はありません。
ただし、入試問題によく出てくる、あるいは、覚えておいた方が内容をつかむときに特に楽になるだろうというものをここでは厳選して書き出しました。これらの古文単語や表現については覚えてしまうことをお勧めします。
国語3
㉙(28~論語)論語、孔子について知る。
㉚反語について知る。「~ではないか、いや、そうではない。」
亦喜ばしからずや。→なんと嬉しいことではないか。(疑問ではなくて、反語「~か、いや、そうではない」と訳すということを知っておく。)
㉛置き字 を知り、書き下し文では書かない(消してしまう)ことを知る。
・而/矣
㉜(144~和歌・万葉・古今・新古今)和歌集の編者、時代、特徴を知る。
㉝五七調、七五調と句切れとは何かを知る。
㉞長歌、反歌とは何かを知る。
㉟「~ぬ」は「~ている」「~た」と訳す(完了の意味)ことが多く、「~ない」という意味と決めつけないことを知る。
㊱(154~おくのほそ道)奥の細道で言われる「古人」は、李白・杜甫・西行・宗祇を表すことを知る。
ここまでのまとめ➂~三年生の古典
4月から5月の時期、「孔子の言葉」を勉強します。その時点で、「反語」についての理解をバッチリしておく。
そうなれば、その後、つまり3年生の5月以降、入試の基礎知識として、新たに教わることはほぼないといっていいでしょう。
和歌の勉強はありますが、ここは、散文の形の古文の問題を解くうえでの必須知識が含まれている単元ではありません。つまり、入試に和歌自体が出ない限りは、和歌の勉強をしていなくても入試問題は十分に解けるということ。
3年生の古文を勉強するにあたっては、新たな知識や古文単語、表現を覚えるというよりも、二年生までですでに触れてきている知識や、古文単語・古文表現の訳し方を使って、古文と現代語訳を参照しながら意味を取っていくことが大事。
「あー、一文が長いから、文を切っていくような感じで理解しよう」
「ここは主語が抜けているけど、だれだれがやっていることだな」
「白河の関越えむと、は、白河の関を越えようと、だな」
という感じ。つまり、すでに理解した方法を使っていく感じ。
入試の古典対策、大半は二年生までの知識でほぼ完了!そう思ったら、ずいぶん気が楽になると思う。
いたずらに恐れることなく、抜けもれなく対策することを心がけよう!!
まとめ
二十年以上教壇に立ち、高校入試問題に触れ、
3年生の1学期、2学期、3学期、その時期その時期、生徒から、国語入試対策、古典対策の悩みを聞いてきました。
入試問題、生徒の悩み、それぞれに、そこには、明らかな共通点がありました。ですので、もっと体系化して教えてあげられれば、生徒の不安をぐっと少なくしてあげられる、との確信がありました。
教員の仕事を辞し、やっと、このように古典対策を一覧にして可視化することができました。
世の中というものを見たとき、知らないだけで損をしている、知っているだけで得をする、そういうものが本当に多いな、と感じます。
知っているだけで、必要以上に不安を感じなくても済む。そういう情報は、できるだけ多くの人たちに伝えたいと思っています。
それともう一つ。知っているだけで得をする、と書きましたが、正確には、少し言葉が足りません。
正しくは、「正しい情報を知ったうえで、行動するかどうか。」これが大事。
この行動は、正しい方向性で行う必要があります。正しい情報が、正しい方向性を指し示してくれます。つまり、
「正しい情報をつかみ、正しい方向性で、できるだけ早く、必要な量の行動を起こす」ことが、受験勉強には大切だと私は思います。
受験生であっても、この一年を、受験だけに捧げる必要はない。早め早めに、その時期に必要な対策を正しい順序で行いつつ、日々生きていくときに感じるもの、興味を抱くもの、それらについても遠慮なく向き合い、毎日を充実させていってほしい。
未来のために勉強は必要。でも、今は未来のために犠牲にする時間、というわけではない。
今年一年が、勉強の意味だけでなく、トータルとして充実した一年になるように。
私はそのために、学習面からサポートしていきたいと思います。
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