プレーモデルの実際(都度太字にて加筆)

地域部活動・少年団・サッカー

試合の前に、戦い方はチーム内で共有している必要があります。

監督と選手は、共通の戦い方をイメージする必要があります。

そして意外とできないのが、監督とコーチの意思疎通。

サッカーは戦い方が多様であり、同じプレーでも、指導者にとってはOKでも、別の指導者にとっては NG となることがとても多いのです。

どちらかがしっかり理解していて、どちらかの情報が古いという場合もありますが、

どちらも間違えてるわけではない場合もあります。

そういった時、そのチームとして正しいのはどちらか。

それを決めるのはプレーモデルです。

今日は、選手や指導者スタッフ全てが共有しておくべき「プレーモデル」についてお話します。

実際に立てたプレーモデルも後半で紹介します。
追記:4月26日 春季リーグを終えての加筆修正。

プレーモデルとは何か

プレーモデルというのは、

・そのチームが今シーズン戦っていくためのプレーの仕方が示されたもの、

・いわばチームの「取扱説明書」です。

その「取説」に示されていることが、プレーをする上でのそのチームの「正解」になります。

ただし、このプレーモデルはシーズンを通して何度も書き換えられアップデートされていきます。

また、もちろん選手をロボットのように「こう動け」とがちがちに縛るようなものではありません。

もっと、全体像としての行動原理を示したもの。

氷の彫刻を作る際の、「だいたいここが頭」「だいたいここが腕」「だいたいここが足」という設計図。そのように私はイメージしています。

つまり、

大まかな行動原理というレベルで、そのチームの戦い方が示されたもの

がプレーモデルです。

プレーモデルがないとどうなるか?

選手は、チームとしての戦い方の基準がないままプレイすることになります。

プレーモデルがなければ、選手は思い思いバラバラで動き、全体として明確な狙いのないサッカーになってしまいます。

また、指導者が思い思いのサッカー観でランダムにコーチングを始めてしまいます。

ただでさえピッチの中でカオス、混乱が起きてるのに、

ベンチの指示もランダムに混乱させるものになってしまうので、統一感のない戦いになってしまいます。

プレイモデルがないチームが陥りがちなこと

チームの中で、やや上手にできる選手がランダムに周りに指示を出してしまい、周りがビクビクしながらプレイすることになってしまうことも多いです。基準が良くわからないなかで怒られながらプレーしても楽しくないですよね。そんなことが起きがちです。

また、ベンチから、指導者のランダムなコーチングを受け続ける、という光景が生まれてしまうことにもつながります。

プレーモデルの実際

短時間で作ったものですで見ずらいですが、実際、明日の試合に使うプレーモデルを紹介します。

言いすぎると混乱するし、言わなすぎると意味をなさない。そのあたりが難しいのですが、今回はやや多めかなと思いつつ、これくらいは伝えないとな、とも思い、こんな感じにまとめました。

明日のゲームのプレーモデル

基本的な立ち位置

【守備時】4-4-2

           rao   yuto.y

   dai  leon  keit    gir

   kae  ryut    rito   kou

              aom

【攻撃時】2-3-2-1-2

               yut.y         gir

   rao

dai                             kou

                 leon

     kae                  keit

             ryut      rit

                  aom

交代シミュレーション

              yut.y       kiz/mio

yum   rao                       mio/kiz

                   leon

       non/tom                   keit

              ryut        rit

                   aom

コーチングポイント

守備の原理原則

初期配置を見て自分のマーカーを番号で確認する

自分のマーカーを注意しつつ、自分の背後にいる相手フォワード、中盤中央の選手のパスコースを背中で切る。

隣の味方選手との門を通されないように、中央によって守る。

プレスのスピードは緩急をつけて。行くときは猛然と行くように。緩急で相手を心理的に驚かせる。

守備のプレーモデル、初期設定

撤退時の立ち位置はピッチの中央⅓。トップからセンターバックまでの距離30m。ゴールキーパーはロングシュートで頭を越えられない程度に前に立つ。

プレス開始はペナルティアークとセンターサークルの中間ラインから。試合展開により調整。

対サリーダでの誘導奪取

・トップはボランチを切りながら相手センターバックをフリーにする。ただし、相手センターバックがプレス開始ラインより前進してきた場合にはプレスを開始する。

・サイドハーフは中央により、相手サイドバックをはじめはフリーにする。相手センターバックから相手サイドバックへのパスを出させるようにする。

・相手サイドバックにボールが入った時にサイドハーフはギアを上げて相手サイドバックから相手サイドハーフへの縦パスのコースを切る→「フタをする」。相手のサイドバックからセンターバックへのバックパスを誘導する意識を持つ。

・相手サイドバックが相手センターバックにパスを戻したら、トップはギアを入れて猛然とプレス。ここでボールを奪う。

対プログレシオン(相手がこちらのファーストラインを超えてきた場合)

・人に厳しく行くこと。

・ボールサイドに人をスライドして人数をかけて守ること。

隣の味方との間を閉じ、パスを通させない。

対フィニッシュ(相手が味方ゴールに向かってきた場合)。

基本的には、ボールと、自分がマークすべき相手を両方視野に入れられるような体の向きを作る。

・相手の裏に抜けようとする動き(デスマルケ)に対してはマーキングで対応。前に走られた時にはボールウォッチャーにならずその動きについていくこと。その際、緊急時にはボールから目を離してでも相手のデスマルケについていくようにする。

相手のデスマルケに対するマークの際には、相手の進路に対して、腕を使うことで割り込む。

・ゴール前では相手と近い距離で守る。

守備から攻撃の切り替え(カウンターor安定して保持)

・前でボールを奪ったら、カウンターを狙うこと。

・インターセプトのファーストタッチがカウンターのパスになることも意識する。(無理やり狙うわけではない)

・後ろでボールを奪ったら、まずチームとして確実にボールを保持するためのパスコースを選ぶこと。前に急がない。

・緊急時以外クリアしない。

ポゼッションサッカーにおける攻撃の原理原則

・ボールがあるゾーンの数的優位を保つこと

・縦、真横ではなくて、斜め前斜め後ろにサポートを取ること

攻撃のプレーモデル、初期設定

・3つではなくて5つのラインを作るように立つこと 2-3-2-1-2

・横パスよりも縦のパスを優先すること

・縦パスををもらったときの視野が確保できていない時は、後ろへの落としのパス(レイオフ)を使うこと。

・中央を経由して攻める。斜めに攻める。

・ピッチを5つのレーンで分け、隣のレーンに同じ高さで立たないようにすること。

相手FWのラインをボールが越える(サリーダ デ バロン)

・keitが右センターバックと右サイドバックの間におりることにより、最終ラインでの数的優位を確保。

・kae.nonは開きすぎない。ペナルティエリアより内、ゴールエリアより外のレーンを基本に立つ。(偽サイドバック:ファルソラテラル)

・leonはライン間エントレリネアスでフリーマンとして動き、相手の守備を中央に引き寄せる。

・kouはleonより高い位置を基本に立つ。

・daiは、ryutからkaeのラインの延長線を基準にして立つ。kaeからのパスラインを安全に引くために、保持が目的と思われる際は十分に下がる。

・raoは降りてきてパスを受けてもいい。

・yutoは基本降りてこない、girはほぼおりてこない。攻撃の深さを確保する役。

前進(プログレシオン)

・相手のフォワードのラインを越えることに成功したら、keitは中盤でプレイする。

中央を経由して攻める。斜めに攻める。そうすることで、中央、両サイド、3方向に攻撃の選択肢が生まれる(フエゴ・インテリオール)。

・攻撃の幅を取るのは、kouとdai。

・攻撃の深さを取るのは、ポスト役で中央に構えるyutと、裏に抜けるマーク外し(デスマルケ·ルプトゥーラ)を繰り返し行なうgir。

・左はraoの個の優位性を生かす。

daiのくさびの縦パスを前進のスイッチとして共有する。

フィニッシュ(フィナリサシオン)

・スルーパスは斜めに入れる。
・スルーパスは小さいモーションで弱く入れる。
・デスマルケのアクションを起こす準備として、相手の視野の外に立つ。マーカーの後頭部が見える位置に立つ。
・デスマルケは早く動きすぎない。オフサイドにかからないことを優先する。
・デスマルケも斜めに走る(動く)
・デスマルケの時は、相手ディフェンダーに対して腕を使い、走るコースにはいられないようにする。
・縦に速い攻撃に対応された場合は、kou,daiが高い位置を取り、攻撃の配置に立って攻撃する。「配置で押し込む」

    rao  yut gir  

dai leo keit kou

kae rit

ryut

※この立ち位置を基本にしながら、両ワイド(kou.dai)がより高い位置を取ることにも挑戦する。

効果的な形を試合中に探す。
→4月26日までに見られた効果的な形。
〇高い位置でボールを奪い、確実につないだうえで、エリア周辺のraoへ。
〇yutのデスマルケ。
〇yutの強すぎない斜めのスルーパスに、rao.gir(kiz)のデスマルケ。
〇leo/keitのミドルシュート。

攻撃から守備への切り替え(5秒のファーストプレス&レプリエゲ)

・失った場所から近い選手、特にボールに対して斜め後ろに立っている選手は即座に奪い返しに行く。(ファーストプレス)

・攻撃時に、ボールを失ったときにはプレスに行く、という心の準備をしておく

・保持のサポート(ボールより下がった位置でパスラインを引いている)をしている選手がファーストプレスの中心になる。leo&keitが中央ではその役になることが多いだろう。

・5秒を目安に、ボール周辺の3人はファーストプレスを発動する。

・ボール周辺にいない7人は、守備の基本の立ち位置に撤退(レプリエゲ)する。

ゴールキック

・エリア内にセンターバック

・ペナルティエリア角にkeit.kae。

・この立ち位置からショートスタート。

味方の立ち位置が整ってからパスを開始する(特にkeitの位置が整わないと成功率が下がる)

現実的に難しい場合、

・全員が自陣に入っている状態で、

・落下予想点にみんなが寄った状態で、

・ロングキック。ただし、ショートの選択の方が、成功率は高いはず。

スローイン

・基本的にサイドバック。

基本縦でいい。サイドハーフは相手マーカーに対して体をつける。相手の膝の上に座るような形。

コーナーキック

・キッカーrao.

ニアにgir。ファーから中央にyut。中央から旋回してrit。

右:raoショート→keit がバージョン2。

左:daiショート→rao がバージョン2。

コーナーキック守備

・gir以外エリア内に。

・ニアポスト前に、マークを持たずサイドバックが立つ。

・ritoは中央でマークを持たず立つ。

・他のメンバーは、それぞれマークを担当。

・相手の背番号で誰が何番を見ているかは必ず確認。

おわりに

(以下4・10に書いた)サッカーは、将棋やチェスに似ているといわれます。

自分たちが持っている駒(選手)の強みを生かし、また、弱みを隠し、いかに相手を上回れるかを競うスポーツです。

戦い方を理解したうえで試合に臨むと、成功と失敗がはっきりします。

それにより、選手・チームの成長も加速します。

また、ランダムなマイナスのコーチングが減ります。

ミスの指摘があったとしても、納得できるものになります。

プラスのコーチングも生まれやすくなります。

感覚的にだけやってきた選手にとっては最初は違和感があるようですが、

なれると楽しくなってきます。(以上4・10に書いた)

(以下4・26加筆↓)

チームのパフォーマンスを受け、加筆修正しました。

サリーダデバロンは、強豪相手にも通用するという手ごたえ。
後は心理的な壁を取り除けるかが大事。

〇プログレシオンは、まだどうしても右から攻めたら右ばかり、左も同様、が多い。が、
ボールを扱う技術としては正直ここが一番難しいところだと思う。だから、粘り強くトライを継続する。
・右利きの選手は左に運ぶのが苦手になりがち。
・右で持った選手が、運ぶドリブルの方向を中央側に持つことも大事。
・でもそれ以外にも、縦パスを入れてレイオフで左側にベクトルを向ける方法もあるし、
・前に急がず、ボールを体で守りながら、正確にボランチ間のパスで左に向かう方法もある。
・一度うまくいったら、繰り返しうまくいくようになるはず。
・チームの心臓の両ボランチ、特にkeitのトライに期待。

フィナリサシオンは、ずいぶんよくなった。
・強すぎないスルーパス
・オフサイドにかからない斜めの飛び出し
・スルーパスの角度、斜めに出すことが増えた。
が、良くなったところ。

次は、デスマルケ自体をちゃんと教えたい段階。
・味方に対して斜めに立つ。かつ、
・相手の後頭部を見る位置に立つ。
・逆方向に3歩歩くことで、相手の矢印を引き出す。
・相手と競るときには腕を使う。

攻撃局面については、ざっくりこんな感じ。
読むのも大変だと思うので、守備、攻守、守攻、その他セットプレーは割愛。

自チームの全体像が描けている、ざっくりとは共有できている感触があります。
このスケッチを継続し、徐々にディテール(細かい部分)に手を加えていきます。
ただし、これは指導者が一方的に行うものではありません。
選手の見せてくれるパフォーマンスが、指導者やチームメイトに気づき(インスピレーション)を与えてくれます。
それを、プレーモデルとして言語化、イメージ化することで、
当初想定していなかった優れたアイデアを共有できるようになります。
そうやって、指導者と選手で共同作業していくのです。

この作業は非常に楽しいですね!
指導者の皆さんは、良かったら参考にしてください。

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