3月30日中学校部活動3ヶ月でのチーム作り第1クール。トレーニングマッチで見えた課題メモ「誘導奪取とボール保持」

3月30日。札幌はまだグラウンドに雪。今日は最後のフットサルでの練習試合。
3週間後に、サッカーでのローカル大会が控えています。
フットサルを通して、サッカーのプレーモデル獲得を意識したゲーム経験をさせたい。
そんな狙いをもって、トレーニングゲームに挑みました。

全7クール中第1クール=~4月15日まで。第一クールの重点テーマ

①対サリーダデバロン(※≒ビルドアップ)/相手の攻撃方向を誘導して、パスの選択肢を限定したうえで、予測をはたらかせ一気にボールを奪取する。

➁攻撃全体/まずはパスをつなぐということを意識する。ボールを失うことの責任にもっと意識をはらう。→適当に蹴って失うのはNG。

トレーニングゲームでのシチュエーション

フットサルでのトレーニングゲームで上の重点テーマ2つ(①誘導奪取➁パスを大事にし安易に失わない)をトレーニングしました。

相手のチームが、ある程度リトリートで構えて、22のボックスの形で攻撃守備をするチームでした。

①の、守備の誘導からの奪取は、やや意図した現象が出ずらかった

誘導奪取のトレーニングをするためには、相手がダイヤモンドで攻撃してくれた方がイメージしやすかったところがありました。

相手がボックスで攻撃する場合、フットサルはキーパーへのバックパスがないので

❶中央を閉めて相手の横パスを誘発する
❷相手が横パスを出したり瞬間にギアを入れてプレスに行く

という形になります。

もしボックスじゃなくてダイヤモンド121の基本の立ち位置でプレイしてくれた場合は、

❶味方の前の3人で中央を占めて相手のピボへのパスライン を切り、
❷相手フィクソからアラへのパスを誘導する
❸相手フィクソからアラへのパスが出された際に、自チームのアラが縦を塞ぎ、相手のフィクソへのバックパスを誘導する
❹相手フィクソへのパスが出た瞬間に、自チームのピヴォがギアを入れて猛然とプレスし、ボールを奪う。

相手がダイヤモンドでの攻撃をしてくれる時の方が、外のサッカーとリンクする形での誘導奪取がおきやすかったと思います。

ただ、その日の状況によって柔軟に狙いを調整して指導効果を上げるのが指導者の役割。

今回はまずしっかりリトリート(撤退、レプリエゲ)して、相手の中央のパスコースを切るということを意識付けしました。

少なくとも意識付けぐらいはできたかなという手応えです。
横パスに対しても、ギアを上げてプレスに行くという意識は持ってもらえたかなと思います。

優先順位を攻撃にチェンジ

試合展開上、自チームがボール保持、相手チームがカウンターという展開になりそうだったので、
①誘導奪取 よりも
➁まずはパスをつなぐということを意識する。ボールを失うことの責任にもっと意識をはらう。適当に蹴って失うのはNG。

こちらをメインテーマとして今日のトレーニングゲームを進めることにしました。

②【ここがやはり大事】まずはパスをつなぐということを意識する。適当に蹴って失うのはNG。

今まで全くやったことのない、クワトロゼロによる、エントレリネアスを使った攻撃に挑戦しました。

ボックスに構える相手に対してこちらもボックスで試合をすると、どちらかというと個の力による真っ向勝負になりがち。

いっぽうで、クアトロゼロで、大まかなパスとムーブのデザインを決めながらプレイすることにより、パスの比重が増えます。
ボール保持者がパスラインを見る、ボール非保持者つまりサポートの選手がパスラインをしっかり作る、
ということが状況的に強制されます。

また、クワトロゼロの戦術は、モビリティにより、相手のファーストラインを超えた際に3対2の数的優位を生み出すことが多いです。

ですので、3対2のフェーズに入った段階で、不用意なボールの扱いをしてしまうと、簡単にカウンターで大ピンチを迎えます。

つまりミスは失点に直結する、逆にうまくいけば非常に美しい攻撃が生まれるという状況になるのです。

子供達には分かりやすく成功失敗がフィードバックされるので、ボールをしっかり扱うというトレーニングに最適かなと思いトライしてみました。

結果としては、狙いは成功しました。パスの重要性がゲームを左右する展開になりました。

良かった点
中央レーンの選手が、エントレリネアスに入っていく動きと、サイドの選手が降りてきて継続のサポートをする全体デザインとしてのクワトロの動きは思った以上に早く子供たちは理解できた。

課題
普段からパスをあまり大事にしていないことが露呈。ファーストラインを非常に美しく突破するのに、3対2のフェーズでのパスラインの引き方、パスラインの認知、運ぶドリブル、プロテクトを使用することなどの個人技術戦術の部分がかなりできないです。ポテンシャルのある子供たちなのにこれはとても残念。

今までのプレイのやり方は、厳しい言い方ですが、
・狙いが薄い、前線にボールをクリアーともロングボールともつかないような形で送り、
・ちょっと運の要素に任せつつ前線でゴールが生まれることを望む感じ。
・→サイコロを振るかのような不確実性にかけたサッカー

子供達の技術やポテンシャルを活かすなら、攻撃はもっと失わないということを意識したプレーをしなければいけない。そのためには、とくにパスのところにこだわってやらなければいけない。

ただそういった部分は、やはり指導者がついてしっかり教えなければできるようにならないんじゃないかなと私は思っているんです。

子供達に、ボールを失ってはいけないという文化がないのももったいないです。
加えて、細かいところにこだわってプレーをしようとするともう集中が切れてしまうというか。

困ったら蹴る、がチームとしての悪習慣クセになってしまってるから、明らかな無意図のプレーも許されている。かなり、もったいないです。

メインテーマ以外で気になった課題

1対1が弱い。特に守備。

ただ単に突進している感じなので、相手のフェイントやスピードの緩急に非常に簡単に引っかかってしまうんですね。

これは子供たちのポテンシャルから考えたらあまりにもお粗末。

おそらくここも守備戦術として、ポールの移動中に寄せることや、相手のファーストタッチの瞬間に両足を地面につけておくこと、体を使って守備することなどが今まで全く意識されてないんだなっていう感じでした。

こういった部分は週3回のトレーニングのうち主に一回目=「パワー」のセッション(自チームなら火曜日)で改善すべき。10秒前後のアクションの中で守備対応の経験をさせながら、守備の個人戦術を身につけていくことが大事かなと思いました。

話を聞くことに慣れていない

私も話を長くしないようにはするのですが、それでもやはり言葉で理解を促すことも重要。

中学生です。言葉でロジカルにサッカーを理解しなければもう通用しない年代になっています。

話を聞けない、こちらが説明していても関係のない雑談をしてしまう。それでよしというチームになってしまっている。
たぶん悪気ないんです。ただ、幼い。

そういった幼稚さを早く払拭しなければ、本当の意味でのこの年代のサッカーはできない。

関連して、マインドを強調することはあまりしたくないですが、対戦相手や会場を使わせてもらっていることに対する感謝も大事だと思います。

会場にはピアノがあったりちょっと狭い会場ではあったのですが、そういったことに対する文句を言ってるようではまだまだです。試合できる状況に対する感謝をすべきところ、どの立ち位置で文句を言っている?

指導者としてはのびのびとサッカーを楽しんでほしいという思いはあります。ですがやはりプレイヤーは、対戦相手や指導者その他もろもろの環境に対する感謝の気持ちや、素直さ、その他配慮の言動は必要かなと思います。

教えなければ、無邪気な、幼い子供のまま。見えている世界が狭い。目に見えないことにも配慮できるようになってほしい。

まとめ

3ヶ月の時間の中で、時期を7つに分けます。

その中の第1クールで、攻撃と守備の全体的なデザインを作っていきます。

絵を描くことに例えると、第一クールは、構図を作ったりラフスケッチをするような感じですね。

第7クールまでのイメージはできています。

その大きな7つのクールで、それぞれのクールに設定するテーマに沿った、成長のストーリーを描いていくのです。

それと同時に、大きなテーマとは別の意味で見つかった課題を拾っていき、そこの改善のトレーニングを差し込んでいきます。今回でいうと一対一の守備戦術の欠如やメンタル的な幼さ、ですね。

また、強みを見つけて、これを子供たちに意識化させ、強みをいっぱい試合で発揮できるように促します。
今日の様子から言えば、クワトロの動きに挑戦しようとする姿勢や、短期間で動き方について身につけられたことはこのチームの強みかなと思います。戦術的なことに対する吸収の意欲は旺盛。この土地の子は、4種も含めてそういう傾向がありますね。

最大限成長を促すために、幼稚な部分や足りない部分はしっかりと指摘していこうと思います。厳しい言い方をすることもあります。いっぽうで、子供なので、失敗はたくさんしていいです。学ぼう、向上しようという意欲があるなら、失敗にはとことん付き合いたいと思っています。

適切な負荷をかけることで、その先の成長の喜びを味わわせてあげたいなと思っています。

今回のゲームを受けて、次週、週3回のトレーニングを構築していこうと思います。

火曜日は短時間のアクションで、筋肉に訴えかけるような一対一のトレーニングをしようかな。

特に守備の戦術を絡めて。

そのためには攻撃にもどんどん声をかけてトライさせるようにして、

いい攻撃があるから負荷の高い守備アクションが生まれる、というサイクルを生み出せるようにデザインしようと思います。

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